- 理学療法士の収入を上げる方法を知りたい
- 理学療法士でも豊かな暮らしをしたい
- 理学療法士の将来や未来が不安
理学療法士として業務をこなし、いざ給料明細を確認するとがっかりすることはありませんか?
そうなんです。理学療法士って労働内容や働きがいに収入が見合っていないのです。
今後も働いていくうえで、理学療法士の年収が低い理由や今後の動向について考えることは重要となります。
今回はそんな疑問にお答えしながら、収入やQOLを上げるための方法を解説していきます。
記事の後半では筆者が行ったことも合わせて紹介していきます!
ステテコ
- 30代理学療法士(転職2回、急性期病院勤務)
- PT向けのキャリアアップや副業・投資関連のコンテンツを発信
- 貯金0円→2年で総資産200万円到達
理学療法士の平均年収はいくら?
理学療法士の平均年収:約432万円
(おおよその内訳:給与361万円、賞与71万円)
平均年齢:35.7歳
※平均年収の計算方法:「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与 その他特別給与額」
※他のリハ職(作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士)も含まれる
厚生労働省が発表している「令和5年賃金構造基本統計調査」によると他のリハ職を含め、理学療法士の平均年収は約432万円となっています。
ただし、理学療法士は20-30代と若手の年代が大多数を占めるため中央値はもっと低いと予想されます。
爆発的に人数が増えているため平均年収はあてになりません…
そして、気になる一般職種との比較について国税庁の「令和4年度民間給与実態統計調査」を参考に比較しました。
全職種の平均年収(給与所得平均)とほぼ同程度ですが、男性の一般平均年収との比較では最大200万円近くの差があります。
長期的にみたとき、各年代における概算の年収は期待できますが生涯年収で換算したときには大きく差がつくことになります。
理学療法士になるまでに苦労したのに世知辛い…
理学療法士の年収が低い理由
得られる収益に限度がある
理学療法士の収益(取得単位)は診療報酬の保険点数で定められていて、1人あたりの収益にも限度があります。
1単位(20分)あたりの収益 | 1,750〜2,450円 (施設基準Ⅰの場合) |
理学療法士の単位取得上限 | 108単位/週、24単位/日 |
仮に保険点数のおおよそ中間である210点/月をベースに、上限まで実施したとすると…
432単位(108単位/週×4週)×210(点)
=90,720点=907,200円/月
ここから人件費として約30〜40%が給与として、支払われた場合
907,200円×0.3〜0.4=約27万〜36万円/月
1人あたりの収益を考えると、雇用形態は妥当と言わざるを得ません…
キャリアアップが難しい
本来キャリアアップを重ねると役職手当での加給を期待できますが、理学療法士はそう上手くはいきません。
例えば看護師の役職は部長クラスまでありますが、理学療法士は課長〜係長クラスがほとんどです。
数にも限りがあるため、ただでさえ理学療法士飽和時代を迎えている昨今では役職につくこともままなりません。
今の職場の状況をみればイメージしやすいかもしれませんね
専門性の認知度が低い
社会的に理学療法士の認知度や重要性が知られていないことも要因の1つです。
職場内だけでなく、世間一般でも認識が低いため専門性が評価されにくい傾向にあります。
対象区分 | 施設基準 | 2012年 | 2024年 |
心大血管 | Ⅰ/Ⅱ | 200/100 | 205/125 |
脳血管 | Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ | 245/200/100 | 245/200/100 |
運動器 | Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ | 175/165/80 | 185/170/86 |
廃用症候群 | Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ | なし※ | 180/146/77 |
呼吸器 | Ⅰ/Ⅱ | 170/80 | 175/85 |
※2016年度より新設
診療報酬では様々な加算がつくことはありますが、ベース部分の保険点数はここ10年ほとんど変化がありません。
政治に関われる人が増えてこない限り、今後の給与水準の上昇も期待できないでしょう。
PTからも何人か政界進出していますが、期待した効果は少ないです
重要な3要素「収入・支出・節税」
収入やQOLを上げるための方法として、大別すると3パターンあります。
1つ目は本業の理学療法士でキャリアアップを図ることで収入向上を目指します。
しかし、「収入を上げる」方法は本業だけでなく、副業や投資を行うことも方法の1つになります。
後者の2つは出費や節税を行うことで「相対的に収入向上を目指す」方法になります。
どれか1つというより、いずれも重要な要素です!
収入を上げるための方法
役職につく
前述したとおり、数こそ少ないですが役職につくことで収入向上に繋がります。
主任・副主任などの役職でも加給はされますが、可能であれば管理職につくことが現実的です。
ただし、管理職の人数自体さらに少ない狭き門のため、現在の職場で目指すとしたら時間を要します。
一番の近道として管理職を募集している施設や、立ち上げの施設で管理職につくことも選択肢の1つとなります。
年収600万円越えも可能です!
転職を行う
管理職以外で目指すのであれば、転職しキャリアアップを図ることで年収向上に繋がります。
理学療法士の職域では大まかに病院、福祉施設、クリニック、教員・講師、一般企業の5つに分かれます。
中でも現状、手堅く収入向上を目指せるのは訪問リハビリになります。
インセンティブがつきやすく、首都圏でなくても高収入の求人が期待できます!
副業をする
一般企業の会社員と比べて、理学療法士は比較的時間を使いやすいのがメリットです。
最近では理学療法士の副業OKの職場も増え始めているので、隙間時間や休日を活かして副業を始めてみるのもおすすめです。
手軽に始めやすいものとして、単発のアルバイトがあります!
ただし、単発のアルバイトでは休みを使用するため稼げる金額にも限度があります。
副業の種類によって本業を超える可能性もあるため、色々な方法を模索してみてもいいかもしれません。
投機・投資
投資や投機を始めるのも収入を上げる1つの手段です。
投機とは短期間で利益を上げることをいい、株式投資やFX・暗号資産のなど市場での売買がしやすい商品が対象になります。
短期間で利益を期待できる反面、ある程度の元手や知識が必要であったり、元本割れのリスクが大きいなど注意が必要です。
投資は中〜長期的に利益を上げることをいい、インデックス投資のような長期投資ではリスクを少なく抑えられます。
節税もできる新NISAから始めていくことをおすすめします!
支出を減らすための方法
固定費を減らす
定時的にかかる固定費を減らすことで、支出を抑えることに繋がります。
例えば…
- 携帯電話を格安SIMに変更
- ネット会社、電気会社の変更
- 住宅ローンの借換え
- 保険の見直し
理学療法士ではPT協会や各種資格などの年会費・更新費にも目を向けるようにしましょう。
長期的にみたとき本当に必要な資格なのか?を考えることが重要です
出費を減らす
普段から実践している人の方が多いと思われますが、日々の生活の中でほんの少し出費を抑えて出費を減らしましょう。
お弁当や水筒を持参する、外食の頻度を少なくする、無駄な光熱費を節制するなど、なんでもいいです。
家計簿アプリを使用すると可視化できておすすめ!
節税をするための方法
iDeCoをする
iDeCo(イデコ)は国が推奨する非課税制度の1つです。
決まった金額を毎月積立(拠出し)て、金融商品に替えて運用を行い老後に年金として受け取ります。
積み立てた金額がそのまま所得控除になるため、結果的に手取り額を増やすことができます。
資産形成+節税にもなるお得な制度です
ふるさと納税をする
ふるさと納税では自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税及び住民税から控除されます。
近年は返礼品の金額制限やポイント還元が少なくなるなどの改悪が続いていますが、今でもお得に返礼品を貰うことができます。
食品や日用品で使用頻度が多いものがあるならば節税に繋がるためおすすめです。
筆者は毎年ビールを頂いています!
NISAをする
NISAでは売却益や分配金などの運用益が非課税となります。
直接給与から減税される訳ではありませんが、将来のための資産形成として活用できるためお得に運用できます。
投資信託であれば低額から始められます
どのくらい変わる?実際に行ったこと
実践項目 | 具体的内容 |
転職 | 年収402万円→503万円にUP |
副業 | 10,000円/月程の収入 |
固定費見直し | ・PT協会を休会:20,000円/年の節約 ・格安SIMに変更:約5,000円/月の節約 ・火災保険、医療保険の見直し:約6,000円/月の節約 ・住宅ローン借替え:10,000円/月の節約 |
節税 | ・ふるさと納税を限度額ぎりぎりまで利用 ・新NISA利用(年利9-10%程で運用) |
一番大きい変化だったのはやはり「転職」でした。
最初の職場に収入が安かったこともありますが、2回の転職を経験し100万円のUPに成功しました。
固定費の削減では年間で約30万円程の節約となり、諸々を合算すると150万円近くの余裕ができたことになります。
いかに無駄が多かったか実感しました…
私見ですが、ライフスタイルの変化に関してはプロに相談するのが一番と感じました。
シュミレーションでは具体的にどのくらい抑えられるのかを算出してくれるためイメージしやすくなります。
まとめ:理学療法士が収入やQOLを上げるには色々な方法がある
- 理学療法士の年収は全体で見るとほぼ平均だが上がる見込みが少ない
- 年収向上も大事だが、節税や支出を抑えることも重要な要素
- その中で一番期待できるのは早い時期での転職
冒頭でも述べたとおり理学療法士の行く先はそこまで明るくありません。
10年近く働いて感じることとして大幅な収入UPは期待しづらいのが現状です。
ゆとりを持つためにも各種固定費の見直しや非課税制度など利用できるものはフル活用していきましょう。
マネーリテラシーへの意識が重要です!